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2010年2月 7日 (日)

【考察】鈍獣と印獣とそのあいだ

なんか、どっかの作家のコラボタイトルみたいになりましたが

一切!関係ありません。

公演パンフに書いてあるですよ。

前エントリの「印獣」が

宮藤官九郎さんの中で「作家こらしめ三部作・完結篇」だと。

というわけでそのことを考察なんぞしちゃおうかと思います。

タイトルにあるとおり、鈍獣が、その最初であることは明白で

印獣と対を成してるのはわかるのですが

3部作。

つまりもう一つあって、それが「ウーマンリブ先生」だそうです。

そっか、そう来るか、と思いました。

というわけで、畳みます。

1作目「鈍獣」は

凸川(池田成志)が作家で、

幼なじみである江田(古田新太)と岡本(生瀬勝久)の過去を小説にしたことで

二人と江田の愛人(野波麻帆)や自分の恋人?(乙葉)に

「殺されそうになる」作品でした。

でも、確かに殺す標的とされたのは作家である凸川だけど、

凸やんはまさしく「鈍い獣」なので

逆に江田たちが追い詰められていく。

「人間とは鈍い獣である」という大きいテーマは

「ヒトを傷つけたり苦しめたりしていることに気づかない」

凸川(作家・いじめられっこ)の鈍さと

「凸川を傷つけてきたことに気づかない」殺す側(いじめっこ)の

どちらもが鈍いんだと言うことを言いたいのかなと思ったのでした。

ここで編集者(西田尚美)は「ストーリーテラー」の役割で出てきます。

しかし最後は鈍い獣たちに一番深いレベルで傷つけられる

他人(蚊帳の外のヒト)となってしまいます。

そして2作目。

「ウーマンリブ先生」。

オープニングには女性の死体がいっぱいで

その真ん中に二人のジャージ姿の男(松尾スズキ&古田新太)

んで歌から始まるわけです。

「ウーマンリーブセンセー。早く書いてねー」と。

作家こらしめ・・・の視点でみると

この二人は松尾さんと宮藤さんを著しているのかなという気がしてなりません。

そして周りに居る女性ゾンビが、ファン。

「早く(次回作)書いてね」という・・・。

話がそれましたがあらすじは

官能小説作家カサイトウスケ(松尾スズキ)が「かけない」ことに悩み

編集者(宮藤さん)の用意した旅館に滞在していた。

愛人(猫背椿)を呼び寄せたり、大学の教え子(平岩紙)にも

浮気心満載。

そこに妻(池津祥子)も現れるが

ネタのためかとにかく浮気を実行しようとするカサイ。

ウーマンリブ文学賞選考委員シオヤゴロウ(古田新太)が隣の部屋にいてカサイの作品を否定する。

かれの作品は「ウーマンリブ文学賞の選からもれた」というも

実はカサイの大ファンで

かけないカサイはシオヤに「代わりに一度書いてみるか?」と持ち書ける。

出来上がった作品は・・・

この作品は作家がファンに追い詰められるという構図。

そして「早く書いてね」という編集者とファンと、

自分の「良い作品が書きたいという欲」に押しつぶされているわけですよね。

その作家役に師匠の松尾さんをキャスティングする残酷さも含め

極限に行っちゃった気がします。

そして3作目。

印獣。

極限に行った宮藤さん・・・。

そこから映画「少年メリケンサック」とったり

ドラマ「流星の絆」書いたりして

「R2C2」も書いて

という生活を経ての

印獣だったわけです。

(メリケンサックとR2C2は

宮藤さんの音楽面で書いておられた気がします。

流星は原作モノだからまた違う脳が働いて居そう)

こちらは作家が3人出てきますが

印税というお金をえさに釣られた3人の作家。

ケータイ作家(生瀬)・絵本作家(池田)・風俗ライター(古田)は

それぞれ過去の接点から長津田麗子という

人生のただ一瞬にすれ違っただけの女優(三田佳子)に追い詰められます。

その手下となっている編集者(岡田義徳)も、追い詰める要因となっています。

そしてライバル作家であるお互いも、追い詰める要因です。

過去・編集者(とファン)・ライバル。

総決算です。

一番の極限に追い詰められた作家が取る行動は

1・2の作品にはなく

その追い詰める何か(内緒)を消し去ってまで

「良い作品を書ききろう」とします。

途中「チャライ」と言われもした彼だけが

ホンモノの作家だと言わんばかりのあっけない終わり方は

一瞬呆然としてしまい

その狂気に魅入ってしまいます。

宮藤さんが何故作家を懲らしめちゃうか、などは

印獣パンフに書いてた(はず。今手元にない。貸してるから)とおもうのですが、

3つ通して考えてみて思うのは

宮藤さんは「それでも書く」んだと決心したのかなということ。

人間は知らない間に他人の傷に触れたり新たに他人を傷つけ(鈍獣・3作品全部)ている。

コレが根底に流れている恐怖感。

そして一旦評価されメディアにさらされた作家が感じた、

「ファンの望むものを書かねば」

「売れるものを書かねば」

「良い作品で名声を得ねば」という

強迫観念。(ウーマンリブ先生)

そして

たとえ追い詰められても

どんな犠牲があっても

本当に書きたいものは

それでも書ききろうという決意(印獣)

にいたったのだとしたら

よかったなぁと思います。

ホラーを書いてといわれて書いたのが鈍獣だというからまた興味深い。

作家はよくも悪くも「えぐる」ことができる。

過去のことや想像で

作家の脳内でつむがれた作品を

露呈させるという作業である執筆は

ある意味残酷な作業。

宮藤さんはどこかで書く作業が怖かったのかもしれない。

一度評価された作家・カサイ(松尾さん)と

木更津キャッツとかが当たって、岸田賞も取った宮藤さん本人がどこかかぶる。

(ウーマンリブ先生って岸田賞取った後じゃない?)

そして師匠松尾スズキさんのことも、たぶん一番よく見ているんだとおもう。

だから

今後の作品を見て

ファンが苦しんでも

傷つけても

僕も苦しんでいるんだという

メッセージなのかもしれませんね。

この三作品に流れてる

「人間は知らない間に誰かを傷つけている」という考え方、

これは作家に限ったことじゃなく

いつもズキズキきます。

またこの三作品を、繰り返し見る日々が続きそうです。

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